プラトンの倫理学の特色

プラトンの倫理学の特色は「徳は知である」という記述に集約されよう。

ただしこれは徳が伝達可能な技術知であるという意味ではない。

徳は想起の知であり・同81、イデアに思索的に至る形而上学的知である。

すなわち、プラトンは形而上学とひとつになった倫理学を初めて確立した。

しかるに、かかる技術的に教え得ない知識を自分も深め、人に勧告するには「魂の気づかい」が必要であるが、この意味は理念的な徳の内的理解にむけての精神の教育ということであり、その目的は、眼に見えぬ理念の理解をつうじて善のイデアという最高存在にまで精神の射程が及ぶことである。

その倫理学は国家学、政治学という社会的レベルをその帰結とする。

ひとの霊魂が理性、意志および情欲にわかれるように国家構成階層も支配階層、防衛階層および職能階層にわかれ、それぞれに該当する徳は知恵、勇気および節制である。これら三つの徳が調和すれば正義が実現される。
update:2010年03月13日